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大人になって趣味で習うピアノ。

大人の場合、子どもの習い事と違って、教育要素や上達を求められる心配がありません。
子供の時にやらされていた指のトレーニングのための教本に嫌な思い出が蘇る方もいるでしょう。

ここでは指のトレーニング教本として代表的な「ハノン」をメインに、大人のピアノについてお話します。
・ハノンって何?
・大人の趣味でハノンは必要か?
・ハノンをやらなかった場合、どうなるか?
・ハノンを続けていると、どんな効果が見られるのか?
・プロも使っている、ハノンの上手な使い方


ハノンを知っている方も、知らない方も、これを読めばピアノに詳しくなります。
これからピアノを始めようか悩んでいる方…
ピアノの上達に伸び悩んでいる方…

是非、今後のピアノライフの参考にしてください。

「ハノン」って何?

ハノンとはフランスの教会オルガニスト、ピアノ教授のシャルル・ルイ・ハノンのこと。
フランスの音楽院のピアノ教授、作曲家名誉教授でもありました。
大学院生に向けたピアノのための教本という位置付けで、ハノンピアノ教本が出版されました。

音楽大学院生に向けた教本なので、趣味の人から見たら難易度が高いように感じられます。
しかし、規則的な音の並びを弾いていく教本ですので、譜読みさえ済めば一生のトレーニング曲として使えます。

1番から60番まで3章に分かれて131ページ掲載されています。(全音楽譜出版社 ハノンピアノ教本より)
具体的な進め方や効果的な練習の方法は、後の章でご紹介します。

大人の趣味でハノンは必要?

自宅で練習するピアノがアップライトピアノかグランドピアノの場合は、ハノンを練習に取り入れる事をおすすめします。

キーボードや20万円以下の電子ピアノの場合は、ハノン教本の使用の必要はありません。

ハノンで指を鍛える目的は、ピアノの鍵盤に負けない指を作るため。
鍵盤の軽いキーボードや電子ピアノでしか弾かない場合は、ハノンで指を鍛える必要はありません。
しかし、ハノン教本には指を鍛える他に、譜読みに強くなる要素も含まれる教本です。
どんな楽器であれ、譜読みに強くなる事は上達に欠かせない要素です。
上達を願う人は、是非ハノン教本を練習取り入れましょう。

全部弾かなくてOK!これだけは弾こう

ハノン教本には1〜60番まであります。
しかし、最後の60番までしっかり弾いてきた人はなかなか見かけません。
また、1番から順に進めていく方法は絶対ではありませんし、進め方の方法は様々です。

まず、ハノンを手に取ったら1番から20番までの第1章を弾きましょう。
楽譜通り弾いたら、ハノンピアノ教本(全音楽譜出版社)の4ページにある変奏の例を参考にリズム練習も組み合わせましょう。
1〜20番でしたら、どの曲を弾いても構いません。
何を弾くかより、どう弾くかが大事なポイントです。
リズム練習、メトロノームの使用を日課にしましょう。


第1章が済んだら、次に21番〜31番までの第2章に入ります。
第1章の課題から、さらに音を増やした課題で指を鍛えていきます。

31番まで進んだら、いよいよ音階(スケール)に入っていきます。
ここからの音階とアルペジォは、ピアノ曲において欠かせない要素です。
この音階に到達するまでに時間を要する場合は、第1章の終了後に第2章と同時に39番の音階を開始する方法もあります。

ここまでの進め方がよく見られるケースです。
ここからは、あまり知られていない第3章のおすすめ曲番号をご紹介。
第3章は音符が細かく一見難しそうですが、想像以上に弾きやすく出来ています。
何より、優れたテクニックを身に付けるための曲がたくさん詰まっています。
音楽大学生でも、ハノン教本の第3章まで弾いている人はあまりいません。
だからこそ、第3章の曲にも取り組んでみてください。

46番「トリル」

5本の指のための練習です。
曲の途中に同じ音を指を変えて弾く小節が出てきます。
指が変わっても、音の質や大きさが揃うように弾きましょう。

練習の方法は1音ずつ、鍵盤の下まで打鍵する方法。
リズムを付けて弾く方法。
メトロノームに合わせて弾く方法。
軽いタッチで弾く方法。

様々な方法を取り入れていきましょう。
左右のバランスを整えるのも大事な要素です。

47番「4つの同音の連続」

曲を弾く中で、同音連打の際に指を変える事がよくあります。
特にモーツァルトの曲は子どものための小曲でも、同音連打の際に指を変える指示があります。

ハノン教本の47番では、4つの同音の粒が揃っているか、かすれてないかに注意しながら弾く練習をしましょう。

50番「3度をレガートに弾く練習」

3度とは「ドとミ」「レとファ」などの一つ飛びで構成された2つの音の事。
難しい曲の中には3度がよく出てきますから、この練習をする必要があります。

音が2つ以上構成されている場合、一番高い音が聞こえるように弾く必要があります。
つまり、右手の5指に当たる音が一番響く様に弾く事です。

難易度が高い事ではありますが、ゆっくり打鍵して右手の5指の音がしっかり鳴るように繰り返し弾き込んでいきましょう。

ハノンを弾かないでいるとどうなる?

ハノンを弾かないからといって、全く指が動かなくなるわけではありません。
しかしハノンを練習に取り入れない場合、上達は非常に緩やかと言う事を念頭に置いておいていく必要があります。

大人でピアノを始めてハノン教本に取り組んでいない人が、ベートーヴェンやショパンが弾きたいという場合、何年経っても弾ける日が来ない可能性が高いでしょう。

ハノン教本は即効性があるわけではないのですが、使い方が正しければ確実にテクニックは身につきます。
目先の弾けた、弾けないではなく、確実に技術を身につけたいのであれば、ハノン教本の使用をおすすめします。

実際どうやって1日の練習に取り入れる?

ここではハノン教本の実践方法をお伝えします。
ハノンはピアノ練習の始めに取り組みましょう。

大人の趣味の場合、レベル別でみたハノン練習時間は、
初心者の方は10分
中級者は20分〜30分
上級者は40分〜60分

これくらいの時間を掛けて取り組むのが望ましいでしょう。

具体的な練習番号の例は、
初心者の方は第1章(1番〜20番)のうち2曲。リズム練習とメトロノーム練習も合わせて行います。
中級者は第2章の21番〜31番から1〜2曲、スケールとアルペジョを取り入れましょう。
日によって片手ずつ弾いたり、スケールにもリズム練習を充てる事で練習の時間を増やす事が出来ます。
上級者は第2章(21番〜31番)、スケールとアルペジョの加え第3章の中からも3つくらいを課題にして取り組みましょう。
3章から選ぶポイントは、取り組んでいる曲に入っているテクニック的な部分に特化した曲を選ぶ事。

3度のパッセージがある曲は50番。
6度進行のメロディーがある曲は50番。
トリルがある曲は46番。

ハノンに時間を掛けていたら取り組んでいる曲の練習が出来ない。というお悩みをよく聞きます。
なかなか曲に手がつけられない焦りがありますが、落ち着いてハノンの時間も取ってほしい思いもあります。
実際にコンクールで成績を収めている人ほど、曲よりもハノンに時間を掛けています。
ハノンは遠回りに見えて近道なのです。

本番1時間前などの場合はハノンの時間を削る事もありますが、緊急でない場合はハノンの時間を大切にしていく事をおすすめします。

意外と知られていない?!おすすめ大人のハノン教本

ハノン教本は様々な出版社から出版されています。
一般的には、全音楽譜出版社の「ハノンピアノ教本」が使われますが、大人の初心者には難易度が高く、音を読むだけで精一杯でしょう。

そこで、意外と知られていないけれど、教室でよく使われている大人の趣味で初心者の方にも使いやすいハノン教本をご紹介します。

ドレミ楽譜出版「やさしいハノン」

従来のハノンピアノ教本の内容をクセなく縮小して、大事な練習番号だけを掲載した教本です。
習い始めて指が動いてはきたけれど、全音楽譜出版社のハノンピアノ教本を使うのはまだ難しい方。
体や指が成長段階の小さなお子様にも使っていただける教本です。

掲載されている番号は、1番から20番の第1章と音階、アルベジオ。
1曲の長さは1オクターブで書かれているので、今どこを弾いているのか、迷子になる事なく弾くことができます。

音符が大きめに書かれている上に、余計な説明や解説が無いのでシンプルで使いやすいのが特徴です。

ドレミ楽譜出版「おとなのハノン」

「おとなのハノン」と題されている理由は、忙しい大人でも効率的にトレーニング可能な内容になっているからでしょう。

この教本は1〜20番までの第1章と音階、アルペジォを弾きやすいように、短く編曲されて収録。
各練習曲には、練習する目的や効果が記載されている為、何のために弾くのかを理解した上で取り組むことが出来ます。

ハノンが嫌いになる理由として、目的の分からないルーチン練習がつまらないからでしょう。
目的の分からない練習ほど、億劫なものはありません。

この教本なら、「4指と5指をひろげるトレーニング」や「1指と3指をちぢめるトレーニング」など、練習目的が分かりやすく記載されているため自分が欲しい効果を選んで練習することも可能です。

ドレミ楽譜出版社「ビギナーのためのHANON」

大人の初心者で習い始めからハノン教本に触れたい方におすすめの1冊です。
音符が読めないところからのスタートでも対応出来るように、編集されている教本です。
この教本で、ハノン練習曲の狙いや意味がわかる内容にもなっています。

この教本を終えてから、上記の「やさしいハノン」や「おとなのハノン」に進んでいくと良いでしょう。
しかし、かなり簡略化されているので独学で弾くのは危険です。
先生の指導と共に進めていかれる事をおすすめします。

まとめ

ここでは大人の初心者のためのハノン教本について、練習の方法からおすすめの教本までをご紹介。
幼少期にハノン教本を弾いていた方にも、改めて学んでいただける内容です。
また、ピアノを習っているお子様を持つ親御さんにも、内容を把握していただく事でピアノ嫌いを避けるきっかけになれば幸いです。

ハノン教本は弾かなくてもピアノは弾けます。
しかし、ハノンを弾いてきた人とそうでない人との差は、月日と共に開く一方となります。

弾きたい曲だけを弾くのでは得られない技術を、ハノンでは習得することができるのです。
ピアノの上達には努力がつきもの。

現代では努力せず楽しみながら上達をうたう傾向がありますが、それには限界があります。
正しい知識と努力を味方に、是非ピアノの上達にハノン教本をご活用ください。